数あるパンの中でも大人気定番のクロワッサン。
「三日月型」と「菱形」の2つの形があり、「同じクロワッサンなのに、どうして形が違うの?」と思った方も多いのではないでしょうか。
実はこのクロワッサンの形の違いには、歴史や文化、材料の違いまで深い理由があるんです。
この記事では、クロワッサンの形の違いや、それぞれの形に込められた意味・由来を解説します。
- パンの形には意味がある?
- クロワッサンの形の違い(三日月型・菱形)は何?
- クロワッサンの由来や意味は?
パンの形には意味がある?

結論から言うと、パンの形にはそれぞれ意味や目的があります。
パンの形は見た目の個性を表現することと、発祥の地域の歴史や文化、食習慣、そして焼き上がりの実用性などにも深く関わっていると言われています。
下記にパンの形と意味をまとめました。
パンの種類 | 形の特徴 | 形の意味・理由 |
---|---|---|
クロワッサン(三日月型) | アーチ状 | オスマン帝国への勝利記念説 |
クロワッサン(菱形) | まっすぐでシャープ | バター入り本格クロワッサンを表す形 |
バゲット | 棒状 | 焼きムラ防止・シェアしやすさ |
ブリオッシュ | 丸型+頭付き | 祝祭や特別感を演出する象徴 |
エピ | 麦の穂型 | 豊穣の象徴・取り分けやすさ |
パンの形に関して、歴史的な意味や理由とは別にそれぞれのパン屋さんによって違うことも。
お客さんにどのような印象を与えたいか、どのようなシーンで食べられるのかを意識して形が工夫されていることも多いのです。

赤ちゃんが背負う一升餅ならぬ一升パンも演技の良い丸い形ですよね。
一升パンをゲットしてきた! pic.twitter.com/NRoV6n9p6b
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こうした背景を知ると、パンの楽しみ方がぐっと広がります。
次からは今回注目したクロワッサンの形について詳しく見ていきましょう。
クロワッサンの形の違いは何?


クロワッサン形の違いといえば、主に三日月型と菱形にわかれます。
『パンの文化史』(舟田詠子さん著)によるとこの2つの形には、材料の違いや用途の違い、そして国ごとの慣習までさまざまな要素が関係してるとのことです。
- 三日月型:丸みのあるアーチ形で、伝統的なクロワッサンの形
- 菱形:まっすぐ伸びたシャープな形で、現代のベーカリーでもよく見かける
三日月型のクロワッサンは見た目に柔らかく親しみやすく、クラシックで手作り感のある印象を与えます。
一方で、菱形は洗練されたイメージを持ち、スタイリッシュで高級感のある印象。
さらに、クロワッサンの形の違いは味や食感にも微妙な変化をもたらします。
たとえば、下記のような違いがあります。
両端が細くなるため、端の部分がパリッ、中心部分はしっとり!
食感の変化が魅力
全体に厚みが均一になりやすくどこを食べてもバターの層がしっかり感じられるのが特徴
生地の折込みが均等なのでバター感が強く感じられる
また、焼き上がりの見た目やカットした断面の美しさにも違いが!
クロワッサンの形の違いは、
バターの使用量や折り込み回数、焼き加減によってもクロワッサンは形に違いが出るのでおもしろいです。



三日月型は個体差が出やすく、菱形は仕上がりに均一感があります。
私はパン屋さんでクロワッサンを選ぶとき自分の好みの形のものをついつい選んでしまいます…
クロワッサンの由来や意味は?


クロワッサンの由来や意味にはいくつかの説がありますが、最も有名なのがオーストリアのウィーンに由来する説です。
クロワッサン(croissant)はフランス語で「三日月」を意味し、その形に歴史的な背景があると諸説言われています。
ここではクロワッサンの由来や意味について三日月型と菱形についてまとめました。
三日月型


『オックスフォード食物事典』(Alan Davidsonさん著)によると、クロワッサンの三日月型は、17世紀末のオスマン帝国によるウィーン包囲戦が由来と言われています。
その後、フランスに伝わり今のようなリッチなバター生地に改良。
この「三日月型」が今でも多くの人に親しまれ、「クロワッサン=三日月」のイメージを定着させました。
今や自然に受け入れている三日月型のクロワッサンには、見た目の美しさ以上に、歴史や文化の意味が込められているということですね!
菱形


昔は三日月型のクロワッサンが主流でしたが最近は菱形クロワッサンを出しているパン屋さんが増えました。
菱形の方が出来栄えに統一感が出やすく大量生産しやすいからではないかと思っています。



私がパン屋さんでバイトしていたときも菱形で成形していました。
当時の店長が「経験が浅くても菱形なら比較的作りやすい」と言っていたのが印象に残っています。
まっすぐでスタイリッシュな菱形クロワッサンも人気ですよね。
フランスでは三日月型と菱形ではバターが違う?!
実はフランスでは、三日月型のクロワッサンと菱形のクロワッサンでは使用しているバターが違います。
フランスの食料省ガイドラインによると、
つまり、フランスではクロワッサンの形によって「中身の違い」が示されているのです。
日本ではこのルールは必ずしも徹底されていません。
本場フランスのパン屋では形を見ればどの素材が使われているかがわかる仕組みになっている、というのはおもしろい発見ですよね!
クロワッサンの形の違いには、見た目や作りやすさの工夫と原材料や製法の秘密が隠されています。
まとめ:クロワッサンの形の違いは?
今回は【パン雑学】として、クロワッサンの形の違いに注目してお届けしました。
クロワッサンには三日月型と菱形という形の違いがあり、今ではどちらも多くのパン屋さんで購入することができます。
ただ、最近は製造工程のシンプルさから菱形クロワッサンを作っているお店がやや多いように感じています。
元々クロワッサンの形には意味があり、三日月型はその歴史的背景と文化的意味、菱形は素材や製法の違いを示しています。
パンの形には秘密が隠されていることが多く、クロワッサンに限ったことではありません。
普段何気なく選んでいるパンにどんな秘密が隠されているのか考えるとワクワクしてきます。
次にパン屋さんに行くときは、クロワッサンの形にもぜひ注目してみてくださいね!